運転適性も正式に認められ免許も有効になって、いよいよ車を使って自由に動けるようになったのですが、大きな問題が発生してしまいました。入院中に車検も通して準備してあった自分の車を、どうしてもの修理依頼で代車に貸していたら、そのお客様が走行中にエンジンを焼き付かせてしまい、自分が経営している工場で修理しないと乗れない状態になったのです。

という事で、5月の末から乗れるはずだった自動車を修理しに13キロ離れた隣の市、白山市まで公共交通機関を乗り継いで自分の車が動くようになるまで、公共交通機関で通うことになりました。
不運なように見えて、実はこの事が、法人を立ち上げるための強烈なモジュベーションのもとになったのです。

公道を歩く恐怖

白山市の自分の工場にに行くためにはまず金沢駅までバスに乗ります。バス停までグーグル先生の案内では徒歩8分となっていましたが杖を突きながらまだ筋力が足りない片足を引きずって歩くと倍の時間15分かかりました。車を使えた頃はバス停まで歩く事が全くなかったのでその距離がとてつもなく長く感じました。

そして何よりも驚いたのは、歩いていると、後ろから来て、横を通り過ぎていく車両の速さと迫力の凄さです。自動車を運転している立場だと、歩行者を追い越すなんてなんてことないことなのですが、杖を突きながらバランスをふらふらして転ばないようにやっとで歩いている自分は「今、車道側に転倒すると命をうしなってしまう」と恐怖感満タンでした。なってみて初めて判った感覚でした。「脚が不自由になってきたご高齢者様が道を歩いているときってこういう感覚だったんだ」と
公道を歩いていて、ほんとによく出会うのですが、「邪魔なんだよ」とでも表現したいのか追い抜きざまになぜかアクセルを多めに踏み込んで加速していく運転者さんがとても多いです。
そういう運転者様に聴きたい。「運転者として恥ずかしくないですか?」と

熱中症に陥る恐怖

大寒波がやってきている今、覚えている人も減ったと思いますが、2024年の夏は酷暑でした。
徒歩でバス停にたどり着く間の15分、そしてバス停でバスを待つ時間も命がけでした。バス停は日陰かというとそうでもないことが多く、座れるベンチがあるかといえば無くて、体力が落ちた自分にはバス待ちは辛い時間でした。「歩いてきたことで、血圧が上がりしかも水分不足になっていたら、脳血管に負担がかかって発作の危険性が上がっているのでは?」といつも心配でした。
発作が起きたら、どうやって助けをお願いすれば良いだろう?と
「外出中、頼れる誰かに一緒にいてもらいたい」と心から思いました。
うちの奥様はせっかくの休みでも、いけるときは自分と一緒に工場に同行してくれました。
誰かが一緒にいてくれる時の安心感、素晴らしかった
「本当にありがたい、感謝しています」
自分がやろうとしている移動サービスは目的地に送り届けて終了ではなく、目的地での同行もあります
それは、前述のような経験があったからなのです。

工場までついてきてくれた嫁さんと

駅での恐怖

待ちに待ってバスに乗ります。乗り継ぎの関係で、乗るバスは通勤通学の乗客で混んでいます。脚が弱い自分はとても立っていられない状態ですが、ヘルプカードを下げている事に気付いて席を譲っていただける思いやりのある人が毎回必ずいてとても助かりました。わが街金沢も捨てたものではないです。

ヘルプマークというのは「これを身に着けている人は周りの人の配慮が必要な人です」という目印です
自分のように杖を突いていれば一目で分かりますが、外見からは分からない場合でも配慮が必要なケース例えば妊婦さん、心臓に疾患のある方などでも身に着けておいでる方がいますので、ヘルプカードを身に着けている人を見かけたら、席を譲ってあげるとか思いやりのある接し方をしてあげてくださいね

そうやって駅に到着して、切符を買ってホームに向かうのですが、通勤時間帯の真っ最中です、たくさんの人とすれ違います。その時に新たな恐怖が、、、

駅の様な人混みの中での恐怖、それはスマホを眺めていて明らかに前を見ずにこちらに向かって足早に歩いてくる人です、身体が普通の状態ならぶつかってもどってことないのですが、その頃は
ぶつかる=転倒。転倒=危険な状態になる。だったので、それはそれは歩いてくる人たちがとても怖かった
運転もそうですが要支援者要介護者になると、普通のことが普通でなくなるのです。
自分は、そういう状態になるのが、たまたま病気のせいで少し早く訪れましたが、人間老いれば、かならずそうなるのですよね。

 

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